特許行政年次報告書 2025年版の概要
特許庁は、2025年7月、特許・意匠・商標それぞれの分野における近年の動向を取りまとめた「特許行政年次報告書2025年版」を取りまとめ、公表しました。
2025年は、日本で専売特許条例が公布されてから140年となる節目の年であることもあり、直近10年間での時代のニーズに即した特許庁の大きな動きについて取りまとめた資料となりますが、その主なポイントについて、以下、簡単にご紹介いたします。
特許出願の動向
特許出願件数の推移については、以下の通りとなってます。 全体的な特許出願の件数は、概ね横ばいで推移してきたことが分かります。

なお、出願される発明の内容については、以下のように、AI(人工知能)関連発明の出願件数が急激に増加していることが分かります。
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特許登録件数ランキング
2024年の特許登録件数ランキングについては、以下のとおりとなっております。

意匠出願の動向
意匠出願件数の推移については、以下の通りとなってます。 全体的な意匠出願の件数は概ね横ばいで推移してきたことが分かります。 この10年間において主に開発製品数の減少を理由として、国内からの出願が減少傾向であった一方で、海外からの出願が増加していることが読み取れます。

意匠登録件数ランキング
2024年の意匠登録件数ランキングについては、以下のとおりとなっております。


商標出願の動向
商標出願件数の推移については、以下の通りとなってます。 2015年は15万件に満たなかったものが、2017年には19万件を超えるほど急増し、その後コロナ禍においては高い水準で推移していましたが、近年は明らかに減少傾向にあることが分かります。

商標登録件数ランキング
2024年の商標登録件数ランキングについては、以下のとおりとなっております。

世界における出願の動向
世界における特許出願
世界における特許出願件数は、増加傾向にあることが分かります。 これは、主に中国人による中国国家知識産権局への特許出願件数の増加が要因とされています。

世界における意匠出願
世界(主要国・機関)における意匠登録出願の件数の推移は、以下のようになっております。 中国が増加傾向にあり、それ以外の主要国では出願件数はおおむね横ばいであることが分かります。

世界における商標出願
世界(主要国・機関)における商標登録出願の件数の推移は以下のようになっております。 2022年は全体的に減少に転じ、2023年以降は、おおむね横ばいであることが分かります。

今後の知的財産政策について
特許庁では、今後も、以下のような施策を推進していくことを掲げております。
・中小企業の出願への障壁を取り除き、権利化を支援
・ベンチャー・スタートアップへの知財取得・活用支援強化
・面的な支援体制による地域知財エコシステムの構築
・AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応
・生成AI技術の発達を踏まえた意匠制度上の適切な対応
・国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護
・仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方
以上、特許庁の取りまとめた「特許行政年次報告書 2025年版」について、主要なポイントをご紹介いたしました。
世界的な傾向としましては、特許及び意匠出願件数はおおむね横ばいで推移しているものの、商標出願件数については明らかに減少傾向にあり、今後の動向が注目されるところです。
2025年7月23日 弁理士 浜崎晃
<出典・参考>
特許行政年次報告書 2025年版(特許庁Webサイト)
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2025/document/index/all.pdf