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Article 知財インサイト

2024.02.29

「GPT」商標のその後

昨年、大きな話題となったOpenAI社の「チャットGPT」ですが、自社のブランドガイドラインで「〇〇+GPT」の使用を禁止する旨の指針を発表していました。

ガイドラインの根拠・強制力の一つとなりえる商標について、その後、日本と米国でどのようになっているのか調べてみました。

「GPT」・・日本では?

まずは、日本ですが、2023年 6月 21日にすでに登録(第6710224号)になっています。日本では特に拒絶を受けることなくストレートに登録となりました。

区分は、ご想像の通り、言語モデルに関連した9類、42類です。

なお、OpenAI社は、このほかにも、「GPT-4」や「GPT-5」、「GPT-6」、「GPT-7」なども出願されていますが、全て拒絶を受け審査中です。

理由は、先願商標や同日出願の存在です。「GPT」は優先権で回避できたようですが、それ以外は優先権を使っても先願等が発生してしまったようですね。この期間に様々な「GPT」を含む商標が出願されたことがうかがえます。

OpenAI社の「GPT」関連商標が登録になるかどうかは、すでに登録となった「GPT」商標の存在や、OpenAI社の著名性などによって、先行商標や同日出願が拒絶されるかどうかがポイントとなりそうです。

「GPT」・・米国では?

それでは、米国の状況はどうでしょうか?

確認した所、ちょうど今月(2024年2月6日)、「GPT」が最後の拒絶を受けていたようです。

“GPT” は”generative pre-trained transformers,” の略であり、記述的である、などを理由にしています。

ちなみに、「GPT-3」(RegNo.6294671)や「GPT-4」(RegNo.7232349)は登録になっています。

日本的な感覚からいうと、「GPT」が記述的であるならば、「GPT-3」も記述的といわれてもおかしくないように思いますし、逆に、「GPT-3」が登録になるのならば「GPT」が登録になってもよいように思われますが、なぜこのような状況になったのでしょうか。

一つ言えるのは、「GPT-3」の出願日は「2020年8月4日」であるのに対して、「GPT」は「2022年12月27日」と、ずいぶん後から出願されています。爆発的に話題となり、”GPT” が”generative pre-trained transformers,” の略であると広く認知されてしまい、最近の審査の方がより厳しめになったとも考えられます。

また、OpenAI社の「GPT」商標の認知が広まったのはここ最近と短期間のため、短期間の周知のみでは記述的であることの反論要素にならなかったのかもしれません。

なぜ「GPT」を後から出したのか、理由は分かりませんが、シリーズ化の予定があるのであれば、「GPT」を早めにだす計画を立ててもよかったかもしれません。

本件は、まだ結果がでておりませんが、今後の動きに注目したいです。

2024年2月22日 弁理士 淡路里美