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Article 知財インサイト

2026.03.02

「アクスタ」も国際標準に!2026年ニース分類改訂と実務への影響

近年、メタバースやNFTといったデジタル経済の急速な発展により、商標実務の現場では「この商品はどの区分に属するのか?」という問いが複雑化しています。特に、長年「IT・デジタル関連の万能区分」として扱われてきた第9類は肥大化しており、調整が求められてきました。

この点、国際的に共通する商標登録のための分類(ニース国際分類)は定期的に見直されており、今年も「国際分類(ニース分類)第13-2026版」(2026年1月より施行)が発表・運用開始となっておりますので、近年の変化を含め、概観してみたいと思います。

自社の今年の出願、「例年と同じ区分でよい」とすると、もしかすると必要な権利が確保できなくなる可能性があります。

主な変更点

最も注目すべきは、いくつかの商品が第9類から第10類へ移行したことです。これまで第9類は、電子機器やソフトウェア、眼鏡、救命用具などが混在する「巨大な区分」でした。

①9類の肥大化への対策

「眼鏡、サングラス、コンタクトレンズ等」はこれまで9類に分類されていましたが、最新基準では「人の機能又は状態の改善のための商品」として、「第10類 医療用機械器具及び医療用品」となっています。ただし、水中眼鏡や防じん眼鏡(運動用や、保護・安全用の商品)は9類として維持されるので、注意が必要です。「度付きのスポーツ用ゴーグル」等も主たる目的が運動用という解釈で9類となり、事業内容によっては9類と10類両方での保護が必要となることもありそうですね。

さらに、安全及び救命のための用具は従来9類扱いでしたが、「消防車、消防艇、救命いかだ、救命ボート」といった一部の商品は、乗り物の一種という理解で、「第12類 乗物その他移動用の装置」に移行されました。

②香料・オイルの用途による分類化

これまで「精油」は、用途に関わらず、全て第3類に属していましたが、国際分類第13-2026版以降は、その用途に応じ、第1類(製造用精油)、第3類(香料(芳香用のものに限る。))、第5類(アロマテラピー用オイル)、第30類(食品香料)及び第34類(たばこ用香味料)に分類されることとなります。

自社の商品がどのような用途を目的としているのか、ロングセラー商品は他の用途での需要も増えていないか、これを機に見直しが必要かもしれません。

主な変更点をまとめた特許庁資料は、以下をご参照ください。

類似商品・役務審査基準【第13-2026版】の主な変更(ニース会合に起因するもの)

日本らしい商品が国際基準に登場!

ニース分類は国際基準のため、各国が年次会合(ニース会合)にて意見を出し合い、アップデートされてきました。直近の第35回ニース会合では、日本からの提案により、なじみ深い商品が国際リストに加わりました。以下、弁理士会報告より内容をご紹介いたします。

①アクリルスタンド(アクスタ)

日本の「推し活」文化で人気の「アクリルスタンド(アクスタ)」。これまでは、「室内装飾品(第20類)」か「玩具(第28類)」かの解釈が国によって分かれており、日本は明確化を求めてきました。 実物を用いたプレゼンテーションや、日本での通称に通じる「flat acrylic toy figures with stands(スタンド付平型アクリル製おもちゃのフィギュア)」という英語表現の工夫を行った結果、第35回ニース会合にてついに、採択されました。「平型」であること、「アクリル製」であることなど、アクスタの特徴をしっかりと反映した表現が国際基準となったことで、各国でも適切な保護が期待できます。

②海藻を主原料とするスナック食品

スナック菓子は主原料によって「第29類(加工食品など)」か「第30類(菓子など)」に分類されますが、加工の程度により29類になったり、30類になったりするため、混乱しやすい領域です。この点、日本の食文化に欠かせない「海藻」を主原料とする食品がどちらに属するのか、明確化が求められました。

議論の結果、第29類に「seaweed-based snack food(海藻を主原料とするスナック食品)」を追加し、類見出しに「海藻」を加える修正がなされました。これにより、海藻を主原料とするスナック食品は原則として第29類に属することが明確になりました。

※根本的な性質が変わるほど加工された菓子は、海藻を含むものでも従来通り第30類に分類されると考えられ、判断に迷う場合には専門家へご相談いただくことをおすすめいたします。

詳しい経過は日本弁理士会の報告をご参照ください。

マドリッド協定議定書及びニース国際分類の改正をめぐる近年の主要議論の概説 パテント 2025 Vol. 78

おわりに

私たちのライフスタイルやビジネスモデルの変化に応じて、商標にまつわる基準も変化していきます。「これまで通り」が通用しなくなることもあるため、商標権の定期的なメンテナンスは必要不可欠です。
Authense弁理士法人では、最新の国際基準に基づき、貴社のブランド価値を最大化するポートフォリオの再構築をサポートいたします。
「自社の区分は今のままで大丈夫か?」と少しでも不安を感じられましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

2026年2月24日 弁理士 鈴木 愛